Smirhythm

『ONE NIGHT JAM WITH BEN』 2008/03/02
 3月2日 午後4時、TOKYO FMの7階にあるスタジオ・イリスからは、賑やかな声が聞こえていました。これから、ウィリアムズ・シンドローム(以下WS)を持つ子供たちのためのライブ・イベントがここで始まろうとしていました。火付け役は、今回、アメリカから初来日したBen Monkabaくん、22歳。彼もまたWSです。実は、ベン君、WSの人々がもつ特別な音楽の才能を見事に開花させ、今や名drummerに成長し、アメリカでも様々な場所でドラムをたたいています。今夜のステージは、WSの希望の星、BENくんのドラムを聞きたいという数多くの声が実現させたライブステージです。ベンと一緒にセッションするのは、日本のバンド「Dragon Fish Blow」の5人組(池田秀史さん(Vo & AG)、うめむらシンジさん(B)、松田光弘さん(Key)、西山昌一郎さん(G)、成田春城さん(Drs)) そしてSAXプレーヤーの瀬戸フミヒロさん。さあ、ベン君自らのヘッドセットを持ち込んでのライブショー、一夜限りのONE NIGHT GIG。
題して『ONE NIGHT JAM WITH BEN』。
 
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 開演まであと10分、次々と到着する子供たちは、スタジオに並んだ楽器セットの前にすわり、音が鳴りだすのを今か今かと待っていました。子供たちの瞳、きらきら輝く笑顔がまぶしいです。子供が30人とその兄弟や家族たちと一緒につづる一時間が今 始まろうとしていました。
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<開演>
 プログラムは、子供が奏でる柔らかなウクレレの音から始まった「Bye Bye Birdie」から。ウクレレに次第に優しく重っていくピアノとアコギの音、そして皆の声。
 子供たち一人一人の名前を歌詞にいれて歌う、シンプルだけど、すごく暖かい曲。
 ベン君もバンドのメンバーもみんな子供たちと一緒のフロアに座っていて、「みんな大好きだよ」という思いがたくさん伝わってきた場面でした。
 続いては、WSのある女の子が1日に30回は聞いていたという不思議な魅力を持つ手遊び歌「in a cabin」をみんなで歌いました。BENくんをアシスタントに、歌をリードします。手をお隣りのお友達と合わせて歌う子、マイクのそばに来て、歌おうとしてくれる子、少しはにかみながらも手を動かし始めた男の子、それぞれの感じ方で楽しむ姿が見られ始め、でもそれが個性で、音楽が彼らの素敵な個性を引き出そうとしている瞬間が見えた気がした曲でした。
 続く「パフ」は、今、小学校3.4年生の音楽の授業でも練習するという子供たちが大好きな曲の一つです。これはアメリカでも深い意味を持つ曲として歌い継がれてきています。平和を願う曲。このイントロが聞こえてきた時、「この曲知ってるよ~大すき~!」と話してくれた女の子、一生懸命に歌ってくれました~ありがとう。
 こうして気持ちが温かくなったパフの曲の中で、バンドのメンバーが一人ずつ、それぞれの楽器へと向かい始め、Dragon Fish Blowのメンバーの厚みのあるサウンドが加わり、音が変化し、ステージはDragon Fish Blowへと預けられていきました。こうしていつのまにか子供たちの大合唱が起きていたパフでした。
 続く、「Whispering Trails」は、アメリカのmusic campのテーマソングです。歌の合間に入るダンスや振りは実にユニークで楽しく、BENがリードして、一層 もりあがりました。そしてBENに声がかかります。「ドラムたたいてみない?」
 「もちろん!」と嬉しそうにBENはドラムセットへと向かいます、彼の特別なマイ・スティックを握りしめて。そしてこの曲の後半は、彼のドラムとボーカルで聞かせて下さいました。もちろんコーラス隊、ダンスチームはWSの子供たちです!!
 次にWSのお友達2人(SONO&TOM)がステージに行き、ベンと一緒に「take me out to the ball game」を演奏しました。これは2年前のアメリカのキャンプでの15minutes fameにおいて3人でセッションした曲で、それを再現したものです。
 そして続く4曲は、BENのon stageです。曲は「Keep on the sunny side of life」 「Surfin’USA」 「FUN FUN FUN」 「Heart to Heart」でした。
 アメリカで、大きなステージを経験しているベンは、さすがに堂々としたもので、そのドラムをたたく姿から、本当に音楽を、セッションを心から楽しんでいる様子が伝わってきました。そして彼の大好きなビーチボーイズから2曲、そしてアメリカでWSの友達たちと一緒にレコーディングをした曲2曲を届けてくれました。もちろんDragon Fish Blowの優しいバンドサウンドと輝く瀬戸さんのサックスと共にです。最後に歌ったHeart to Heartについてはベンにとってもとても大事な曲で、アメリカで、WSの友達とミュージシャンと一緒に作り上げた曲だそうです。
 
 このようなベン君とDragon Fish Blowのメンバーがセッションする姿から、音楽は、会った瞬間にこうして簡単に国境なんて越えてしまえるものなんだと、目の前でみせてもらいました。そして一緒に参加しているWSの子供たちにもそれはあてはまります。だって、この日、みんな楽しそうに歌い踊った音楽はすべて「英語の歌詞」だったのですから。そんなこと気にもせず、ごく自然に音楽に身を委ねている彼らを見て本当にすごいと思いました。
 この4曲を演奏し終えた後、BENはドラムセットから離れ、ステージにDragon Fish Blowが残ります。そして今夜のために2曲、彼らのオリジナル曲を聞かせて下さいました。『虹』『いつもの笑顔で』。
 『虹』は子供からのリクエストによりピックアップ、そして『いつもの笑顔で』はこの日のために、WSの子供たちのために作ってきて下さったオリジナルソングでした。
 丁寧に歌うVo池田さん。ストレートに伝わってくる思い。それを一心に聞く子供たち。歌詞の『守るつもりが 守られたりして 君の強さを知った』を聞いた時には、思わず涙がこぼれそうになりました。
 
<PART1でお届けした曲は>
M1:  Bye Bye Birdie
M2:  in a cabin(手遊び歌)
M3:  PUFF 
M4:  Whispering Trails 
M5:  Take me out to the ball game
M6:  Keep on the sunny side of life (Ben with Dragon)
M7:  FUN FUN FUN          (Ben: drum & vocal with Dragon)
M8:  Surfin the U.S.A        (Ben: drum & vocal with Dragon)
M9:  Heart to Heart         (Ben: drum& vocal with Dragon)
M10: 虹(rainbow)           (Dragon Fish Blow’s original song)
M11: いつもの笑顔で        (Dragon Fish Blow’s original song)
<みんなsmileで全員写真撮影!!>
M12:We will Rock         (CD : everybody’s singing & dancing)
M13: MATSUKEN SAMBAⅡ  (CD : everybody’s singing & dancing)
 
 このようにして、全11曲をみんなで演奏し、あっというまに時間は過ぎていきました。そしてダンシングタイムを経た後に行われたチャレンジ・ライブの時間には、自ら名乗り出てくれた数名のチャレンジャーがそれぞれの楽器で、演奏を聞かせて下さいました。それぞれのステージでいくつものドラマが生まれたのは言うまでもありません。
 
<Part 2でお届けした曲>
 チャレンジ・ライブ!有志の参加。子供たちがそれぞれ得意な楽器をバンドのみんなとセッションできる大胆不敵なチャレンジタイム!次のような曲がラインナップ!
M14: Lupin theⅢ (リコーダー)
M15: Smoke on the water (ドラム)
M16: 千の風になって  (オカリナ)
M17: We will rock you   (ドラム)
M18: in other words  (ドラム)
M19  星に願いを     (ピアノ)
M20: Stand by me   (ギター)
M21: 「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」(ヴォーカル)
M22: 車屋さん     (ヴォーカル)
 
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 最初、初めての場所に不安もあったでしょう。大きな音が聞こえてきそうで、最初は少し怖かった子もいたでしょう。あまりの興奮の渦に、戸惑ってしまった子もいたかもしれません。でも、それぞれの感じ方で音楽をうけとめていいのです。まずは音楽と自分との距離を知ることから関係は始まるからです。いい距離で、いいお付き合いが出きていけば、きっと音楽はみんなの力になるでしょう。特にWSの子供たちにとっては。
 
今日ここに集まったのは、ほんとに小さなあつまりだったけれど、でもたしかに日本とアメリカをつなぐ小さな架け橋ができました。この小さな橋が、きっといつか大きな橋につながるように、この小さな一歩が、きっといつか地球全体へとひろがるように、願ってやみません。
 
「世界中の人と友達になりたい」これがWSの子供たちの心からの願いです。
Heart to Heart 
Hand in Hand 
 
 
 
いつもの笑顔で
(作詞作曲 池田秀史 編曲 ドラゴンフィッシュブロー)
君を守りたくてさ 僕なりにがんばってはみるんだけど
空回って疲れた日は その笑顔にすくわれるんだ
 
守るつもりが 守られたりして 君の強さを知った
そして これからも よろしくね
 
今 動きだした君の時間が 素晴らしい未来へと向かうよ
君だけが持つ やさしい言葉で
満たしておくれ この世界中を いつもの笑顔で
 
たくさんの成功と 失敗を何度も繰り返しながら
君の描いた夢が 少しずつ形になっていくよ
 
こわがらないで、 君は君らしくありのままでいいから
目の前の扉を さあノックして
 
今 動きだした君の時間が すばらしい未来へと向かうよ
君だけが持つ やわらかい風で
つつんでくおくれ この世界中を いつもの笑顔で
 
今 動きだした君の時間が すばらしい未来へと向かうよ
君だけが持つ やさしい言葉で
もいたしておくれ この世界中を いつもの笑顔で
 
そう いつもの笑顔で
 
* この曲は、3月2日、Dragon Fish Blowのみなさんが、WSの子供たちのために作ってきて下さったオリジナルソングの歌詞です。